【石見銀山遺跡転落事故】老朽化放置の危険性
世界遺産『石見銀山遺跡』内でとても痛ましい事故が発生しました。
川沿いに設置された木製の柵にもたれ掛かったところ
柵が折れて約4メートル下の川へ転落してしまったという事故ですが
ニュースなどでも伝えられている通り、この木製の柵は
木材が腐食してぐらついているのが2021年の時点では確認されていたそうで
注意喚起のためにカラーコーンなどは置かれていたそうですが
修繕などはまだ行われていなかったそうです。
身近に潜む老朽化の危険
街に潜む『老朽化』による危険性はほかにもあります。
国土交通省によると、全国に72万2176か所ある橋を点検したところ、
腐食などが確認され「修繕が必要」と判断された橋は、昨年度末の時点で6万か所以上あるそうです。
しかし、そのうち着手されているのが約24%、未着手が約59%あるそうで
対応が終わっているのはわずか約17%なのだそうです。
街を歩いていると、橋や柵の他にも
錆びて朽ちてきている歩道橋や、ひびがたくさん入った建物など
目に見えて明らかな老朽化が進む建築物・建造物はあちこちに潜んでいます。
数年前にも、アパートの老朽化により
階段部分や共有部分の床が崩落し、被害者が出てしまう事故が発生しました。
老朽化が進んでいる状態では強度は全くありませんので
少しの衝撃や重みが加わっただけで、簡単に崩落してしまうのは当然のことと言えます。
住まいの老朽化も放置は危険
木材の腐食は住宅にも様々な影響を与えることは言うまでもありません。
実際にどのような場所が腐食しやすく、どのような影響を与えるのかを紹介していきます。
腐食しやすい場所
屋根部分 |
普段見えにくい場所であるため 屋根の破損などに気付きにくく、 破損箇所などから浸水した場合 含水した木材も乾きにくいため、 腐食しやすい。
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床下の土台 |
敷地が周囲の土地よりも低く雨水が 流れ込みやすいなど、 地形的要因によって湿度が上がるケースや 元々田んぼや湿地帯だった土地は、土壌に 含まれる水分が多く、床下の湿度も上がり やすいため、土台の木材も腐食しやすい。
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開口部まわり |
窓のまわりなどは、シーリングの劣化に より内部へ浸水しやすく シロアリが窓まわりの木材の内側を 食べていることもある。
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木材の腐食による住宅への影響
木材の腐食を放置すると、当然のことながら様々な悪影響が出てきます。
大きな被害としては、建物自体の寿命が短くなってしまうことです。
具体的には、耐震性や耐風性など、住宅の強度そのものに問題が生じることを意味しています。
安全だと思っていた家でも、いざ地震が起きたときには倒壊してしまう恐れもあります。
また、腐食しやすい屋根部分では、放置してしまうと耐風性に問題が生じ、
台風などの強風時に、屋根が吹き飛んでしまう可能性もあります。
木材を腐らせないために
住宅にとって、水は天敵です。
住宅に使われている各建材は、決して永久部材ではありません。
防水性能が失われた建材は、もちろんですが含水して本来の性能を発揮しなくなり
やがて土台や柱となる木材へも到達し、影響を及ぼします。
一番の対策は『水から保護する』『換気・通気を良くする』の2点です。
そのためには、適切な時期に適切なメンテナンスを行うことが重要なポイントとなります。
住宅は購入したら終わりではありません!
自動車、時計、衣類など、全ての物と同様で
正常な状態を保つためには、メンテナンスは必須となります。
とはいえ、住宅のメンテナンスは決して安いものではありません。
お金もかかるし、家が工事中だと何かと不便だし・・・など
様々な理由で『とりあえずまだ大丈夫だろう・・・』と先延ばしにしてしまいがちですが
『まだ大丈夫』が、今回の痛ましい事故のように
大事に繋がってしまう可能性だって充分にあります。
劣化症状が出始めたら、しっかりメンテナンスを行い
安心して過ごせるよう、住まいを大切に守っていきましょう。
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